中野区歯科医師会との懇談会報告 (2020.8.23 スマイル歯科にて)
出席者:池田先生(スマイル歯科指導医)
山内先生(中野区歯科医師会会長、スマイル歯科所長)
原沢先生(中野区歯科医師会副会長、スマイル歯科副所長)
小松先生(中野区歯科医師会理事、スマイル歯科会計)
花岡先生(中野区歯科医師会、スマイル歯科担当理事) 司会
石松、福満、宇野(中野区重症心身障害児(者)を守る会)
スマイル歯科診療所の概要、現状のついての説明と、質問、意見交換をしました。
スマイル歯科は全国でも珍しい区の歯科医師会運営障害児者専門クリニックとして、今年で開設27年、「地域に根ざした障害児者歯科医療の推進」「口腔リハビリテーションにおける地域連携」「在宅訪問口腔機能向上」を目的として、活動しています。
歯科治療、検診だけでなく、摂食指導、相談(区内の施設に出かけての訪問検診、口腔ケア指導、摂食指導)を行っています。
感染対策には開設当初から最新、細心の注意を払ってきましたが、コロナ対策で、4台ある診療台のうち2台のみ使用、待合室の密を避ける意味でも、予約は半分に制限せざるをえない状況です。通常の治療着の上からガウン、フェイスガードを着用。ディスポのガウンの提供への協力を中野区にお願いしているそうです。
口腔外バキュームという治療で周辺に飛び散る飛沫を吸引するものを使用すると、飛沫は治療する手元周辺だけに収まります。(飛沫に色を付けての実験映像を見せてもらいました。)大きな掃除機のような音がするので、音に敏感な子どもには使えない欠点があります。
全身麻酔での日帰り歯科治療も27年、こちらは、東京歯科大学水道橋病院へ出張(歯科医師2名、歯科衛生士3名体制)です。年間15人程度の治療を行っています。動いてしまう障害者の歯科治療は体を押さえて行う場合がありますが、これは確実な治療が行えないため、再治療になってしまうということ、そして、患者にとって精神的ストレスになってしまい、歯科治療だけでなく広く医者嫌いになりかねないという問題をはらんでいるそうです。コロナにより中断せざるを得ず、8月より再開、10人待ちとのこと。
現在、障害者の歯科治療の医局員18名(障害者歯科治療に熟知した者)、医療協力連携医32名(障害者治療を学んでおり、各地域の自分の診療所に障害児者受け入れ可能で紹介があれば連携可能な歯科医)、障害児者診療協力医55名(スマイル歯科診療所にて障害者歯科治療を学び定期健診等スマイルでの治療に協力してくれる歯科医)、摂食嚥下リハビリテーション協力医9名(摂食嚥下リハビリを大学研究室、東京都研修など研鑽した歯科医)、訪問診療協力医37名(各地区に居る訪問在宅診療をしてくれる歯科医でスマイル歯科診療所に相談依頼のあった患者さんを連携して対応)と27年の歴史の重みを感じました。
病院、施設等で、治療が必要になった時、近くの訪問協力医が出向くなどの体制が取れ好評だそうです。
災害時の避難所での肺炎防止には口腔ケアが有効ということが知られるようになってきましたが、普段の生活でも同じことです。手術の前に口腔ケアということも、病院によっては常識になってきたとのこと。(出席者から、入院中に虫歯発見の体験談あり)
口の中をきれいにすることで、感染を防ぎ、入院期間の短縮にもつながるというのは驚きです。
これからはデンタルフロスが大事というお話は、苦手な私には耳が痛い話でした。「糸ようじと訳したのがまずい!」と池田先生の熱弁!
スマイル歯科には開設以来お世話になったので、知っているつもりでしたが知らないこともありました。
また、中野区の障害者はみんなスマイル歯科にお世話になっていると思っていましたが、知らない人もいるというのは、とても残念なことだと思いました。
他のことでも共通ですが、NICUから地域に帰ってきたときにつなげていけるシステムが必要だとの意見がありました。
障害児者は病院大好きな子もいますが、白衣を見ただけで部屋に入っただけで大泣きする子もいます。最初に出会った歯医者さんで歯科嫌いにも好きにもなります。息子は旧アポロ園の保健室(の畳の小上がり)で歯医者さんのお膝での検診依頼、お世話になりました。
宇野
参考までに
スマイルの人員の説明で解説していませんでしたが、スマイル歯科診療所の歯科医師、歯科衛生士で専門の研修受けてさらなる特化した研鑽を積み学会発表、症例経験、各段階での試験クリアーし資格を得ている者の内訳です。
日本障害者歯科学会
指導医:2名(池田、向井先生)
専門医1名、認定医3名
指導歯科衛生士2名、認定歯科衛生士3名
日本摂食嚥下リハビリテーション学会
認定士7名(歯科医師、歯科衛生士含む)
資料6 各地域におけるサービス提供の状況